【登場人物考察】黒ひげについて②【悪魔の実の伝達条件】
前回の続きです。黒ひげの能力の謎に迫ります。
- 1. 黒ひげの能力は?
- 2. 体の構造が"異形"
- 3. 悪魔の実は本当に心臓に宿るのか?
- 4. 黒ひげは能力者狩りをどう行ったか?
- 5. 結局のところ黒ひげは何者か?
- 6. 黒ひげ"ケルベロス"説に対する反論
- 7. 総まとめ
1. 黒ひげの能力は?
①ヤミヤミの能力
黒ひげは元4番隊隊長サッチを殺し、ヤミヤミの能力を手に入れました。
ヤミヤミはロギア系の能力で、他のロギアと違う特徴を持ちます。
- 自分自身が闇になる
- 闇は全てを引き寄せるため、”攻撃”や”痛み”も引き込んでしまい、他のロギアのように無効化することができない。
- 悪魔の実の能力者も引き寄せる。引き寄せられた能力者は能力による保護がなくなり、生身に戻る。
こんなところでしょうか。エースは黒ひげに引き寄せられロギアの能力が使えなくなってしまいます。(正確には、ロギアのオートガードが無効になっていました。)
ここでポイントになるのは、 3点目の「悪魔の実の能力者を引き寄せる」ことです。
覇気の設定が出てきた時は「ヤミヤミなんかに頼らないで武装色の覇気を鍛えれば能力者にダメージ与えられるじゃん」なんて僕も思っていました。
しかし、カタクリのような覇気の達人は相手の攻撃を見聞色の覇気で予知し、体を変形し避けていますので、いくら武装色の覇気を鍛えても避けられてしまう可能性が高いです。
その点ヤミヤミの能力を使えば能力者を引き寄せられますし、引き寄せられている間は能力を使えなくなるため、確実に能力者にダメージを与えられます。
これが、ヤミヤミの力の強い点です。
②グラグラの能力
頂上戦争の時、黒ひげは白ひげからパラミシア最強と呼ばれているグラグラの能力を奪います。これにより、黒ひげはヤミヤミとグラグラ二つの力を手にしました。
グラグラの能力は振動を引き起こす能力。白ひげ程の使い手になると津波を引き起こしたりマリンフォードを一撃で半壊させたりともの凄い威力の攻撃をすることができます。センゴクの言葉を借りると、世界を滅ぼす力です。
ヤミヤミとグラグラの力を手にした黒ひげは後のマルコとの落とし前戦争に勝利し、4皇の一角となります。
しかし、悪魔の能力は一人一つしか持てず、二つ目の実を食べようとすると体が爆発してしまうとのことですが、なぜ黒ひげは二つの実を食べることができたのでしょうか?
2. 体の構造が"異形"
頂上戦争時、二つの能力を手にした黒ひげを見た白ひげのクルーは驚きを隠せませんが、マルコはここで、黒ひげの体の構造が異形故にこのような結果となったと言っています。つまり、黒ひげの体の構造が悪魔の実を二つ以上受け入れることのできる構造であるということです。
では、黒ひげの体はどんな構造をしているのでしょうか?
① 悪魔の実の宿る箇所(臓器)が複数ある
"異形"ということは、一般人と体の形が異なるということです。ぱっと見黒ひげは体のサイズは大きいものの、そんなに一般的な人間と差があるように思えません。
ということは、体の内部の話なのでしょう。
体の構造が異形故に悪魔の能力を二つ以上持てるというマルコの言葉が正しいなら、黒ひげの"異形"の個所に悪魔の能力が宿ることになります。悪魔の能力が宿るということは、体にとって重要な箇所であることは間違いありません。
となると、僕は”心臓”ではないかと思います。黒ひげは心臓が複数あるから悪魔の実を複数食べることができたというのが僕の仮説です。
その根拠と成りうるのは以下の白ひげのセリフです。563話のタイトルにもなっているこのセリフ。かなり重要なセリフだと思います。
「おれだっておめェ・・・心臓一つの人間一人」
この後黒ひげが戦争に乱入し、白ひげに止めを刺したうえで能力を奪いますから、この意味深なセリフと黒ひげに何らかの関係があってもおかしくありません。
きっと、このセリフは「心臓が一つでない、人間が一人でない」人間が存在するということを暗に意味しているのではないでしょうか?
それは誰か、この戦争の原因を作った黒ひげです。
② 人格(魂)が複数ある
仮に白ひげのセリフが本当に「心臓が一つでない、人間が一人でない」者が存在し、それが黒ひげだということを仄めかしていると想定すると、黒ひげには心臓が複数あり、また複数の人間が中にいる、すなわち多重人格者であると考えらえれます(どう見ても体は一つなので)。
ちなみに、ワンピースの世界には魂という概念も登場しますが、一旦これは人格と同じものであるとしておきます。
人格が複数ある根拠は以下です。
i) 海賊旗
人格が複数ある根拠として、まず黒ひげの海賊旗があげられます。
黒ひげの海賊旗にはドクロが三つ描かれています。ワンピース世界の海賊旗にはその船長の特徴が描かれていることが多いため、黒ひげには頭が三つある、言い換えれば人格が三つあると考えることができます。
ii) あいつじゃねぇ・・・あいつらだ
また、モックタウンでルフィ・ゾロが初めて黒ひげと会った時、気になるセリフを言っています。「あいつじゃねぇ、あいつらだ…」
当時、ルフィもゾロも死闘を乗り越えて覇気が開花し始めたころでしたから、黒ひげの内部の他人格を感じ取ったのではないかと僕は思います。
このシーンの直後に黒ひげの仲間たちが登場しますが、別にこれは隠れている仲間たちが近くにいるよ、っていうことを言いたかったわけではないと思います。あえて黒点で強調していますしね。
以上の根拠から、僕は黒ひげには「人格(魂)が三つ」あるという説を唱えたいと思います。
3. 悪魔の実は本当に心臓に宿るのか?
僕は、
黒ひげは体が異形
⇒異形だから悪魔の実を複数食べることができた
⇒じゃあ、その異形の個所に悪魔がやどる
⇒きっと重要な箇所だから心臓に違いない
このような立場をとっています。
しかし、そこで一つ疑問が生じるのは、悪魔の能力は本当に心臓に宿るのか?ということです。
というのも、パンクハザード編でたしぎやフランキーがローに心臓を入れ替えられたとき、人格(魂)は心臓にひっぱられてましたが、悪魔の能力は体に残ったままでした。
例①:スモーカーの体に入ったたしぎがモクモクの能力を発動していた
例②:チョッパーの体に入ったフランキーがモンスターポイントを使っていた
心臓に悪魔の力が宿るのであれば、心臓が交換されたら悪魔の能力を使えなくなってしまいます。しかし、現実たしぎやフランキーは能力を発動することはできていました。
これはどういうことでしょうか?
※ちなみに、この件で人格(魂)は心臓に宿っていることは分かりましたので、黒ひげに心臓が三つあるならば人格(魂)も三つあるということが言えると思います。
① 悪魔の力は心臓を起点に全身に回る?
悪魔の力が心臓に宿るなら、心臓が交換されたら能力も使えなくなるんじゃ?という考えに対する僕の仮説は以下です。
悪魔の実はウィルスかナノマシンみたいなもので、最初は心臓に感染、その後全身に回る。
一見トンデモ仮説ですが、僕は結構ありうるのかなと思っています。
一度悪魔の実を食べるとまず心臓が悪魔の力に感染します。そして心臓を起点に悪魔の力が全身に回り、いずれ心臓からは抜けていく。しかし、一度悪魔の力に感染した心臓に新たな悪魔の力が入ってくると、反発しあって爆発する(アナキラフィシーショックのようなもの)と。こんな感じです。
ちなみに、悪魔の実に感染された体の”全身”を食べると、その悪魔の力は食べた者のところに行くと僕は考えます(マザー・カルメルとビッグマムのケース)
そう考えれば、心臓が交換されても能力は体に宿ったままという事象について説明がつきます。しかし、次の疑問が生まれます。
② ブルックのケースやファンクフリード・ラッスーのケースは?
i) ブルックのケース
仮に悪魔が心臓から全身に回るとすると、心臓のないブルックのケースはどのように考えればよいでしょうか?これは、ヨミヨミの能力と一緒に考える必要がありそうです。
まず、ブルックは生きているうちに実を口にしていますから、生きているうちに全身が悪魔の力に感染したと考えられます。この時点で、人格(魂)は心臓に、悪魔の能力は全身にあります。
次に、ヨミヨミの力を「ヨミヨミに感染した体の機能が完全に停止した後、その体に人格(魂)を戻し再び機能させる」能力だと仮定します。
すると、ブルックは生きているうちにヨミヨミの力に感染していますから、全身(骨まで)ヨミヨミの力が行き渡っていると考えられますので、骨になっていようとヨミヨミの力が発動し再び行動が可能になりました。しかし、本来魂が宿るべき心臓がありませんので、魂の定着は不安定で肉体から離れて魂だけで行動ができるようになったのだと思います。
ii) ファンクフリードやラッスーのケース
Dr.ベガパンクはモノに悪魔の能力を宿す方法を開発しました。モノには心臓がありませんが、どうやって悪魔の力を宿すのでしょうか。
僕は、これはベガパンクはモノに疑似的な心臓を宿す技術を開発したのだと考えています。それがどのような技術なのかは現時点では想像がついていませんが、そう説明せざるを得ません。疑似的な心臓をモノに組み込み、悪魔の力をそこに注ぎ込むというやり方です。ベガパンクはSmileを開発していますから、悪魔の力の抽出には成功しているのでしょう。悪魔の能力と魂は直接関係はありませんから、魂のないモノにも感染させることができるのです。
しかし、モノに悪魔の力を宿すだけではラッスーやファンクフリードのように自発的に行動することはできません。そこで、僕はおそらくベガパンクは実際の犬や象の魂をもとに人工の魂を作り出すことに成功し、ゾオン系の能力"物"には、それに対応する魂を注ぎ込んだのだと考えられます。
もしかしたら、くまが受けたのは自分の魂を"物"に置き換える手術だったのかもしれませんね。
4. 黒ひげは能力者狩りをどう行ったか?
黒ひげは白ひげの力を手に入れて以降、能力者狩りに精を出します。
モリアの部下アブサロムも殺された上に能力を奪われてしまいました。
能力者が死ぬと近くの果物が新たな悪魔の実となることがスマイリーの時に確認されていますので、黒ひげはこの特性を使って白ひげから能力を奪い、また部下を使って能力者狩りをしていたのだと思います。
黒ひげは白ひげから能力を奪うとき、布でその様子を隠しましたが、これは悪魔の実の能力者が死ぬと、近くの果実にその能力が移るという特性を他に知られたくなかったからでしょう。
仮にヤミヤミの能力でこれを行ったのだとすると、ドレスローザ編でバージェスがルフィに手を出そうとしていたシーンと矛盾が生じます。バージェスヤミヤミの力はは使えませんから。
5. 結局のところ黒ひげは何者か?
以上のことから、僕は黒ひげは三つの心臓を有し、三つの人格(魂)を有する人物だという説を唱えます。
なので、眠らないことや、海賊旗のデザインからケルベロス説も有力ではありますが、頭が三つあっても心臓は一つのケルベロス説には反対します。
黒ひげは元々非能力者で、サッチを殺してヤミヤミを手に入れ、白ひげからグラグラを手に入れ、まだ一つ空きがありますので今後強力なゾオンの力を手に入れる可能性があると考えます。
6. 黒ひげ"ケルベロス"説に対する反論
最後に、巷で有力視されている黒ひげケルベロス説への反論を書いて終わりたいと思います。
① 黒ひげケルベロス説
これは、黒ひげは以前に"イヌイヌの実幻獣種 モデルケルベロス"を食べたとする説です。ケルベロスとは、ギリシャ神話に登場する犬の怪物で、冥府の神ハーデースの飼い犬で、冥府の番犬をしています。
冥府に来る魂は通し、逃げようとする魂は食べてしまうことから、何者も冥府から逃さない"地獄の番犬"と呼ばれています。
ケルベルスの特徴の最たるものは、頭が三つあることでしょう。この説を唱える人は、ケルベロスには頭が三つあるため黒ひげも能力を三つ持つことができる(ケルベロス、ヤミヤミ、グラグラ)という立場をとっています。
この説を補強する材料として、以下のようなものが挙げれます。
i) 黒ひげの海賊旗
黒ひげの海賊旗にはドクロが三つ描かれています。ワンピース世界の海賊旗にはその船長の特徴が描かれていることが多いため、黒ひげには頭が三つあるという仮説が成り立ちます。頭が三つある、つまり黒ひげはケルベロスだという根拠です。
ii) ウソップとケルベロスのゾンビ
次に、ワンピースの世界にそもそも"ケルベロス"という怪物が存在するのかという点を見ていきましょう。
まず、東の海シロップ村での一幕です。大分連載初期のころですが、ウソップとその子分たちが"ケルベロスだ追い払え!"と言っていますね。ここから、ワンピースの世界にも、ケルベロスという怪物の神話や伝承が存在することが分かります。
そして、そのウソップの嘘が実現する形でスリラーバークで番犬としてケルベロス(とおぼしきゾンビ)が登場します。
この直後ウソップ、ナミ、チョッパーは「ケルベロスだー!」と言って逃げていますから、ケルベロスの神話はある程度一般に知れ渡っていることが想像されます。
以上のことから、ワンピースの世界にもケルベロスは神話の怪物として確かに存在します。
iii) 黒ひげは眠らない
昨日最新話の考察で紹介しましたが、最新話にて黒ひげは”生まれてこの方寝たことがない”ことが判明しました。シャンクスがそこで”じゃあ人の倍人生が楽しいのかな?”と言っていることから、 45巻のバナロ島の決闘の時に、エースが黒ひげに言った"人の倍の人生を歩んでいるお前が…"というセリフの伏線は回収されたと考えられるでしょう。
この眠らないことがどうケルベロスと結びつくかというと、ケルベロスの特徴の一つとして、”三つの頭が同時に眠ることはない”というものがあります。黒ひげはケルベロスの能力者になったから、眠ることができないと考えることができます。
iv) 殺されたサッチの魂はどこへ行く?
上で紹介した通り、ケルベロスは魂を食べる怪物です。なので、エースが言ったこの意味深なセリフ「これを放っておいて殺されたサッチの魂はどこへいくんだ」というのは、暗にサッチの魂が黒ひげに食べられてしまったことを意味します。
② 黒ひげケルベロス説に対する反論
i) まず、海賊旗については、これといった反論はありません。頭が三つという考え方はできると思います。しかし、これだけでケルベロスだとは言い切れないため、僕は人格が三つであるという説をとります。
ii) 次に、ケルベロスはワンピースの世界に存在するという話ですが、まあ他の神話上の動物(フェニックスとか九尾の狐とか)は存在しますからね…。ケルベロスがこれまでの物語に出てきたからと言って、黒ひげがケルベロスだという根拠にはなりません。
iii) そして、黒ひげは眠らないという根拠ですが、これはケルベロス説にとってかなり有力な根拠だと思います。ケルベロスは三つの頭のうちいつもどれかは起きていますからね。しかし、黒ひげは「生まれてこの方寝たことがない」と、生まれてからずっと眠っていないかのような描写が最新話でされていますから、本当に生まれた時から眠っていないのだと思います。
仮にケルベロスの能力のせいで眠っていないのだとしたら、「生まれてこの方眠ったことがない」という表現には違和感が残ります。
ケルベロスの実を食べるとしたら、生まれてすぐじゃなくてもう少し経ってからでしょうからね。(もしかしたら赤ちゃんのうちに偶然食べてしまったのかもしれませんが)
また、ケルベロス派の人は「ケルベロスになったから悪魔の実を三つ食べることができる体になった」と主張していますが、それと「体が異形」は結びつきません。
仮にケルベロスになった後に悪魔の実を複数食べることができるようになったとすると、悪魔の実は三つの頭に宿ることになります。とすると、オロチは八つの頭があるから八つの能力を得られるということになるのでしょうか。それはさすがにおかしくないですか?
ケルベロスと異形は関係ないということも考えらえれますが(元々ティーチは心臓が複数あって、ケルベロスの実を食べたけどまだまだ他の実も食べられるよということ)そしたら別に能力はケルベロスじゃなくてもいいですよね。他のゾオンでもいいですよね。
結論として、僕は黒ひげには元々人格が三つあり、そのどれかの人格はいつも起きているから夜眠りにつくことはできないという仮説を提唱します。
iv) そして最後に、サッチの魂はどこに行くというエースのセリフですが、これも正直魂を食べるケルベロスに食べられてしまったと考えることもできますので、ケルベロス派にとって有力な根拠だと思います。
しかし、ここは単純にその言葉通り、魂が浮かばれないという意味だと取っておきます。
7. 総まとめ
長々と書いてしまいましたが、この記事を通じて僕が言いたいことは、
・黒ひげには心臓が三つ、人格(魂)が三つある
・悪魔の実は心臓を起点に全身に宿る
・僕はケルベロス説には反対(異形と結びつかない)仮に悪魔の能力が頭に宿るとしたらオロチは八つの能力を身につけられることになり、収拾がつかない
以上の三つです。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
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